図書館類・総合研究所ブログ

ブログ「図書館類・総合研究所」の中の人。公共図書館を中核にしながらも、大学・学校・専門図書館。それを支えるICT教育。書店・出版社の動向。情報システムの動き。MLA連携。自治体の情報化をフィールドワークにしています。Facebook https://www.facebook.com/yuta.hattori.311  Twitter https://twitter.com/hat2hat2

「iTeachers × iStudents プレゼンLIVE 〜ICTで変わる“新しい学び”のアイデア〜」(速報版)

「iTeachers × iStudents プレゼンLIVE 〜ICTで変わる“新しい学び”のアイデア〜」

参加してきました。ICTに関わる先生方の熱い思いが伝わってくる、イベントでした。

(速報版)

 

日時:2013年11月4日

場所:広尾学園カフェテリア

講師:

[司会] 栗谷 幸助 先生(デジタルハリウッド)/小池 幸司 先生(俊英館)

  永野 直 先生(袖ヶ浦高校)

  片山 敏郎 先生(新潟大学教育学部附属新潟小学校)

・小酒井 正和 先生(玉川大学

・金子 暁 先生(広尾学園

・神谷 加代 さん(主婦ライター)

 

デジタルネイティブたちとどう学ぶか 〜10年後の「普通の授業」をめざして〜』

永野氏

生徒に、iPadを持たせて2年半になる。先日の台風の後で私の近所がとんでもないことになっていた。洪水で動けない状態。私のすぐ近くで、大変なことになっていたが全く気がつかない。Twitterで初めて気がついた。WEBのおかげだろう。

生徒たちも日常から、使っている。この状況に世間では快く思っていない人たちもいる。それは、グーテンベルク活版印刷を発明した時にも同じことがあった。本は活字ではなく教会で神父さんたちが読み聞かせるものだと。その時、教会は快く思わなかった。読み聞かされるのと、活字であるのとでは、情報の量とスピードが格段に速くなった。

では、学校はどうなのか。大正時代と今は実はあまり変わっていない。黒板があって、学校は40人に対して教える。

生きて行く上で必要な力とは何か。コンピテンシー、21世紀型スキル。このことに現場は対応できない。社会が変化しているのに肝心の学校が対応していない。

iPadを、自前で生徒全員に持たせた。計画したのは3年半くらい前から。その際にも、コミュニケーションが低下したらどうするなどの意見があった。私は生徒たちに、実感を持って体験してもらいたいコミュニケーションは低下するのではなく、むしろ活性化するはずだ。

授業で、AとBは、同じ大きさかどうかを検証させた。その際、自分で試してみるように生徒たちに言った。生徒たちは切り取ったりして必死に試す。何でこうなるんだ、どうして、何で、これが重要。ここを置き去りにしてはいけない。ICTを使うことで子どもたちのこうした気持ちをより活性化させることができる。

例えば、古典の授業で、「降雨と劉邦」。舞を舞う有名な部分があるが、それぞれの位置などを子どもたちに自分で想像させる。各自で色の変化に合わせて生徒自身が動かしていくのだ。

例えば、方程式で、公式を覚えろという。確かにそれも重要だが、公式を忘れたらどうしようもない。インドの先生がYouTubeで公式を教えている動画を見た。公式を忘れても自力で解決できる方法を教えている。

シルエットで、人形が回っているのを見せて、どう動いているかを説明してください。どう回っているのか。隣の人に説明して。右足を軸にしている、左足を軸にしているなど  人によって言うことは異なる。この話し合いが重要。話し合うことで、この違いに気づく、思い込みを超えることができる。平面であるシルエットに対して、それぞれが勝手に思い込んでいる。人と話して始めて、そのことに気づく。これが重要なことなのだ。

Twitterを使わせている。セキュリティのこともあり、鍵付きアカウントにしている。Twitterを通じてみんなの意見を聞くことができる。しかし、これが最終目的ではない。

我が校では、無線LANが使える環境がある。さっきの古典の場合も、先生がワークシートを配布している。誰がどこに座ったかを配置させる。文字だけではわからない情報を学習する。実際に生徒が動かすことで、文字の隙間を理解ができる。これなら、個別に端末で操作できるので、家でもできるのではないか。情報コミュニケーション課の生徒たちに家庭でのネット環境を聞いてみると、100%ネット環境にいる。しかも無線LAN環境があることも分かった。今の子どもたちの、情報アクセスの環境がこれなのだろう。

例えば、裁縫の仕方を、動画で見せていく。動画を見せないで、従来通り、文字だけで学習した生徒に比べて、理解度が上回ったとのこと。このことで、実習にかかる時間が減る。できない子がいなくなる。手際がよくなることはいいことだ。

iTunesUで、授業の様子を公開している。学校に病気で来れない子のためにこれを作成した。しかし、これは手間が大変だ、それで、これを生徒たちに分担させた。写真を取ったりと。次は、アップロードも分担させようかと思っている。

共同学習をする上で、タブレットは非常に有効に作用する。一夜漬けの暗記方法ではだめ。自分たちでものを作ったり、考えたりすることが重要。

そこで、デバイスが有効になる。クラウドにUPさせて、共有する。ネットで博物館や大学と連携する。情報を取り出す。メディアも生徒が自分たちで作っている。先生が用意したものだけでなく、生徒が自分たちがこんなことができるんじゃないかということで作っていく。

生徒たちはこうしたデバイスに習熟が早い。デジタルなレポート。実験は結果がすべてではなく変化も重要だ。班ごとで違いを見つけたりする。チュ学生のことだが、ジャンプの角度をiPadで測って、なぜ飛ばないのかを考える。外部の情報との連携することの必要性。外部の大人を招いて、生徒にアドバイスをしてもらう。先生が言っても聞かないが、社会人の大人がいうことで実感がわいてくる。科学未来館を見学して、学習してもらう。

iPadは、コンピュータの代わりではなく、新しいデバイスだ。音楽をシェアする際に著作権の問題が出るので、自分たちで作らせている。黒板が電子黒板にかわったが、iPadなどを使ってその代わりにしてしまう。今まで授業の仕方に疑問があった。学校は井の中の蛙状態。これをiPadというデバイスを通じて、広げている。SNSが重要だ。SNSとは、ソーシャル・ネットワーキング・スクール。

 

 『「タブレット端末」が授業を変える!〜探究的・協同的学びを生み出す学習ツールとしての可能性〜』

片山氏

データファイルが壊れてしまったので、急遽、ネタを変える。私がタブレットを導入したのは、授業に子どもたちの笑顔を出させたかったから。学習でiPadを使う時のメリットは何か。コンテンツをを作ってそれを道具にする子がいたり様々なことが言える。教師が何かを提供するのではなく、子どもたちが自分たちでコンテンツを作っていく。教科毎に生徒がまとめている。例えば、国語はデバイスを使って、漢字を調べることができる。子どもたちは自ら方法を考えだしていく。感じの例で言えば、感じのアプリがある訳ではない。打ち込んで変換をして、漢字を探していく。情報を共有できることも大きい。すべての教科に関わるが、自分がとったものをみんなに見せられることも大きい。普通のカメラだとすぐに加工が出来ない。iPadは手軽に加工が出来て、画面が大きいので編集がしやすい。つまり、調べ学習がしやすい。現在、理科で「月と太陽」を習っているが、iPadを使うとその場でインターネットを使えるので非常に便利。

文部科学省が、電子教科書を作っている。確かに、教科書をデジタル化したら便利だが、その効果にはまだ疑問がある。アプリででも十分対応できるのではないか。使えそうなものがあれば、使っているが、まだ少ない。そこで、マインドマップを多用している。iPadを配った当日というのは、まだ、コンピューター室がコンピューターでいっぱいだった。新潟市はマンガ振興をしている最中の都市なので、子どもたちと、実際に街にでで、街にあるマンガの状況を取材しに行った。その際、iPadの使い方は教えなかった。どのくらいできるのか。共同してなにかするのかに関心があった。iPadは、家で使っている子もいるし、直感的なので使いやすい。街中で取材をしていこうとして、いきなり町のおばあちゃんに聞いて断られる。それも重要。社会の厳しさを体験できる。生徒たちは動画を作り、自己評価を行う。

さっきも言ったように、新潟市はマンガを使って、マンガ・アニメ情報館を建てて、新潟市に発信している。この取材の中では、分担も出来た。動画をとる生徒、メモを取る生徒などさまざま分担をした。紙の資料で、1部しかもらえなかったものがあった、これはデータにして共有する。こんなこと、本屋でやったら大変だよということも教える。こういうことも重要。私は全員にやり方くを教えていない。一人の生徒に教えるだけだ。教えたことは、他の生徒にも伝わっていく。4日間でプレゼン作りをしてもらった。生徒は、iPadに様々なものを入れてプレゼン作りをする。今までだと、コンピューター室でコンピューターに向かってやっていたことだ。しかし、コンピュータ室で作業をさせると、一人1台ではない状況では、グループの中で操作できる子がやってしまうことになりがちだった。iPadにすると一人一人ができるようになる。また、総合評価もできる。ミニ発表会にして、お互いにプレゼンをして高め合う。その上で、代表プレゼンを行う。新潟市の職員に来てもらって、意見を聞いたりもした。そこで、自分たちで新潟のマンガを盛り上げる活動をしてもらえないかといわれ、さっそく、グループでプレゼン作りをする。動画や文字をいれて。そんな中で、「募金をして寄付をする」というような発言をするグループがあったりして、新潟市の職員から、「そうじゃない」と却下されてしまう。こういった経験も大切。

私は、生徒に地域と関わる学習をさせたいと考えていたので、新潟には、花育かるたというものがある。さっそく、新潟市の花を調べる。iPadを使ってマインドマップ使いながら、情報を集めている。新潟では、マンガの祭典「がたふぇす」というものがある。そこにも子どもたちといった。痛車がたくさん停まっている場所があった。子どもたちに取材させた。もちろん新潟のマンガはこれだけではない。同人誌の文化もある。この他にも、街で有名なお菓子屋さんが、アニメを看板にしている。漫画とお菓子のコラボで、お菓子を擬人化して商品にしている。

他にも、パラパラ漫画でアニメを作ってもたりするNHKの企画があったりする。自分の学校でも、マンガを広める企画を行う予定にしている。

 

「ICTで変わる“新しい学び”のアイデア」

先生と生徒のプレゼン対決をしてもらう。都合上、先生の意見を簡潔に紹介する。

 

小酒井氏

デジタルネイティブ世代に問題があるとの指摘をもらったことがある。ほうれんそうができていない。学生にほうれんそうを教えてるか。今の子はほうれんそうができない。会社ではにこんなことは教えない。そんな人材育成の時間がないから。大学生でもできていない。何とか大学生まででなんとかしたい。仕事が進まないのは、、ほうれんそうができていないからとい指摘もある。

教えたはずなのにわかってない。それは、振り返りができてないのだ。Facebookなどは振り返りの手段になる。うちの大学では、サイボウズを使って振り返りを行っている。Facebookは細分化できないので採用しなかった。

私は隠れていて、ほうれんそうをさせる。会社にちかいことをする。LINEだとみんなよくしゃべってくれる。私は、早寝早起きなので、学生たちがLINEを送ってくる時間帯と生活サイクルが違う。

話は変わるが、北見くんが入院して学校にこれないということがあった。これは大事だ。出席日数がとれないのだ。しかし、彼は、報告連絡がすごい。すぐに先生に連絡をして、どうしようと連絡相談を持ちかける。そうしたことがあると、すぐに対応することになるので、なんとか日数の問題は解決した。しかし、卒業研究が残っている。さてどうするか。そのうちに、タブレットのアプリを使って、画面の同期をするることを思いついた。これならコメントもも書き込める。情報をリアルタイムでシェアできる。彼と連絡をとり、チャットして、情報のやり取りをする。

まず、相談を促すことが重要。歩み寄るのは先生側だ。曖昧にしてはダメ。まず、生徒に信頼してもらうことが必要。デジタルネイティブ世代だからこそ、コミュニケーション能力を育てる。その仕組みが必要。社会に出て、会社で問題が起こっていることを、捉えることを教えることが必要。ぜひ、ほうれんそうのパターンを教えてあげて欲しい。

 

「現実を動かすもには、ビジョンそれとも意志」

金子氏

我が校の、iPad導入の背景。これが出たとき、日本の教育が変わるのではないかと感じた。この時代のテクノロジーの進化はすごい。40年の前倒しが簡単に実現するのだ。すごい。ウォークマンからiPod、そのあとにまた、日本の技術に帰ってくることを期待している。本当に。

Appleが環太平洋で研修会を開催した。特別支援学校の先生がいる。生徒の中には、障がいのため自力では何もできない。その生徒に、iPadを使った。口は使えるので、入力機器を口に咥えさせて、学習させた。学習スタイルの転換だ。これはすごいこと。できないことをできるようにするためにある。この話は大喝采を得た。翌日、会場に出席していた中国から来た人とタイから来た人と挨拶をしたのだが、その時に、中国の人が昨日のプレゼンはすごいと評価してくれた。言葉には関係なく、ちゃんと意思は伝わるのだ。オーストラリアのコルベ氏?、は19世紀型の学習スタイルからの脱却を訴えた。

さて、ICT教育に必要なこととはなんなのか。教育機関は何を目指しているのか、これが重要である。

ALL  ENGLISH講座を行っている。中学校から。我が校はかつては偏差値上ではランキングに出てこない学校だった。しかし、最高峰を目指した。ハイテクノロジーは、伝統が軸になる。そこに素晴らしいものがあるのだ。ビジョンとは、そこから生まれた現実。今では日本で3本の指に入る学校となった。

 

【感想】

ICT教育にかける、先生方の勢いと言うか、熱意を感じた時間だった。ICTを使って子どもたちの瞳に、輝きを作ろうと努力をされている先生。授業に「気付き」のおもしろさを追求している先生。「ほうれんそう」の重要さを再認識する先生。古い学習スタイルからの脱却を強調する先生。先生方が強調するのはそのキーマンとして、ICTがあると考えていることだ。みなさん、非常に個性あふれるお話で、いろいろ参考になることがいっぱいあった。