図書館類・総合研究所ブログ

ブログ「図書館類・総合研究所」の中の人。公共図書館を中核にしながらも、大学・学校・専門図書館。それを支えるICT教育。書店・出版社の動向。情報システムの動き。MLA連携。自治体の情報化をフィールドワークにしています。Facebook https://www.facebook.com/yuta.hattori.311  Twitter https://twitter.com/hat2hat2

ICT教育/「広尾学園×iPad×ICT 教育」第 3 回カンファレンス 2013

【日時】12 月 21 日(土)10:30~

【会場】広尾学園中学高校

 

<公開授業>

午前中の授業は、どのクラスでも、iPad及びインターナショナルクラスはMacBookを使っての授業展開をしていました。力んだ形ではなく、ツールとして生活に溶け込むかのように、授業に溶け込んで使用していました。

 

<情報共有>

金子暁氏(教務開発部長、ICT教育責任者)

広尾学園のICT活用とこれからの教育」

グーグル社のシュミット会長が先だって、来校されて、生徒たちを前に登壇された。13年11月。我が校の生徒たちと話をする。氏は日本におけるプログラム教育を広めるために来日。マーク先生は授業を使って、スクラッチのプログラムを行う。我々は、iPhoneのアプリの作成を行っている。来年3月には、Googleジャパンの本社を会場にして行う予定。

ユーザとして終わるのではなく、プログラムにもフィードを広げる。

現在の、中学受験の偏差値ランキングでいくと、トップは、開成、灘といった70超えのところ、まあ60越えはトップクラスといえる。広尾、、2007年以前は37以下くらいだった。2007年、共学化、進学校化、学校改革を行い、年々ランクを上げており、最近は、学科によっては、上位に顔を出せるようになった。しかし、この枠組みだけでいいのか。保護者はそれで満足していない。。もっと、突き出ることを意識している。iPadを導入したのは、学園生活に武器を与えたかった。それまでの先生と生徒の関係というと、先生の指示を受けてから動く。この仕組みを変えたい、iPadでこれが変わる。機能制限して、生徒に返すわけですが、数日前にiPadを手にした生徒が、みるみる状況を変えていく。こういった時に、通常の学校なら、指示が出るまで、触れてはいけないとするところなのだが、我々は、それをしなかった。生徒たちが自分たちで考えて動く。操作を教えることも特にしなかった。直感でできた。ICT教育とは、目指すところは学校によってそれぞれ違う。目的も違う。しかし、この目的が重要なのだ。機器はツールとしてあるだけ。手段にすぎない。それが一番必要なスタンス。機器がゴールではない。目的は何なのか、これが重要だ。我々の現場では、よく目的と手段が入れ替わることがある。いつのまにかに。それを私達も過去に何回も繰り返してきた、、、これからの学校のあり方には、明確な目的が必要。我々は生徒たちに今の教育水準がどうなのかを教えたかった。

沖縄の支援学校に影響を受けた。読み書きできない子たちに、何をどう教えられるのか。子どもたちは、誰かの介添えがないと学べない。この環境を変えたかったのだ。そして、変えられた。

コルベカレッジでは、ある時、大きな予算がついたICT関係で。立派な機器を入れた学校と、環境を整えた学校。後者が残った。環境を整えることは、、目的がはっきりしていることが重要だからだ。

 

 

木村健太氏(医進サイエンスコース担当)

「ICTツールを用いた研究的な学びー2ndステージへー」

ICTツールを用いた研究的な学び、、、、セカンドステージ

現在、3年目になり、いろいろなことが見えてきた。現況と今後について。

今までは、平日が多かったので、企業の方が多かったが、、、今回は先生が多いようだ。理系のコース、、、生徒の中で理系に行きたい子たちのみ。、、、、進学のイメージがあるが、それは結果でしかない。サイエンスに必要な物は何か。生徒とともに考えた。

ICTはツール、ここにも結果はない、、、英語もツール、、情報収集のためだ。

授業では、大学との連携を行っている。本物を見てもらいたいのだ。これが重要。先生がいくら伝えても本物になれない。いいことばかりでなく苦労も知りたいし、教えたい。これが重要。研究というと、生徒は華やかな部分しか見ていない。だけど、実は地味な作業なのだ。そうしたことを、ふまえて進路を選んでほしい。道なる物へのアプローチ。世界の誰も知らないことを研究する、、、どんなアプローチがあるのか。マインドを学んでもらいたい。自分の好きな研究をしたら、だめ。社会に求められていることを学ばなければいけない。そうでなければ、趣味になる。確かに、学校時代は、今は自分のやりたいことをすればいい。テーマを選ぶのは実は大変なこと。このことを知ってもらいたい。学術論文を見る。英語で読み、それが研究テーマになる。現段階でテーマが決まっていない子はたくさんいる。英語の論文も必須だ。英語の文法は困難ではない。英語の能力だけじゃなくて、専門用語が必要。そうすることで、普段の英語の受け方が変わる。この際ICTツールを使う。研究成果は社会に還元されなければいけない。

セカンドステージということだが、我々のクラスは、iPadを最初に導入した。医進はトライアルだった。常にウェブにつながる環境が必要だった。一人一台になった。クロムブックも導入した。PC以外にも、紙を使ったりもする。

GoogleAppは必須になっている。他にも、検索、Gメール、スカラースカラーを使っているのを見た時は、ちょっとした驚きだった。

先生のスケジュールを見たりもする。プライベート時間に限らず、情報を共有する。研究する場所の予約もしている。カレンダーと連携して「TODO」はしているようだ。面白いこともしていると思う。生徒が具体的にどう思っているのか。ディスカッションで話をしてもらう。

今後どうなっていくのか。教育界でICTが導入される意味は何なのか。活性化エネルギーみたいなものだ。下げる作用にあるのが、酵素。高校と大学の乖離が激しい。大学入試という溝。そこに溝がある。そこにICTが入ることで、解決してくれるのはないか。

教育はもっと本質へ近づいていく。我々が、iPadを導入した時のことだが、できるできないの論議になってしまった。そこは問題ではないのだが。しかし、時間が解消していくだろう。ICT化によって、生徒と触れ合える時間が確実に増えるはず。授業の形もいろいろ多様化してくる。ベテランの先生の授業は今こそ必要なのだ。ICTによって、隅に追いやられてると思っているが、それは違う。教育がもっと本質に近づいた時に、年配の先生が必要になってくる。必ず。

教員のあり方。生徒が先生の誤りをいとも簡単に乗り越えてしまう。先生との知識格差はなくなってきつつある。先生の知らないことも、他の人に聞くことも必要だ。教員が完璧である必要はない。ウェブにあふれてる情報は膨大なのだ。生徒の抱えなければならない知識は非常に大きくなっている。膨大な情報から、いかに、効率的に、拾えるかの方法論。ウェブは答えじゃない。むしろ、ここから始まるのだ。少なくとも、理系のあり方はそうだ。だとすると、この考え方は生徒に、教えられる。情報の確かさみたいなものを。

例えば、寿命って何と問う。ウェブで寿命と引いたら、怪しい情報だらけだろう。確かな情報は我々の仕事なのだ。生徒の知りたい情報を知っているのは教員。

授業のあり方。授業力で勝負する必要がある。我々にも毎年、研修がある。ICTが入ると、おそらく、授業館の格差はなくなるだろう。中高大の差もなくなる。ひょとすると、予備校も同じことが言えるのではないか。ウェブで見れるからいいやという意見もある、しかし、そうではない。ウェブに流れる授業は。。。。。

MOOCS、、、ウェブに授業が配信されていて、生徒たちが自由に受けることが可能になってきている。こんな状況で、僕らは何をするべきなのか。アクティブラーニングや、プレゼンテーションのスキル、何が正しいかはおいておくとして、医進では、反転授業も進めている。しかし、反転授業をしてついて来れる生徒はいい。ついて来れない生徒たちの基礎知識はどうするのか。「ルーパー」、、、、明治大学の授業を配信している。学校では、それを見ていることをふまえて、授業を始めることになる。家でやってきてねと言うように。家でやらない生徒は、どうするのか。それが、何なのかが問われているのだ、今。

教材、、、、だめなものをカットすることはたくさんあるが、必要なものをピックアップすることができていない。ウェブの情報を、効率的にアーカイブ化されていることが重要。教材が重要。教育に本当に求められるものは、やっぱり教員が考えなければいけない。メンター的なあり方。ボーダレスなもの、国も超える、ICTを使うことは場所が不要になってくる。スタンフォードの専門家と話をする。ディスカスの仕方が根本的に違う。これは、言語の壁がある。いまは、英語で学ぶことが重要になってくる。

教育のビッグデータも重要なものになってくる。我々は、ベネッセと協力してやっている。データベース化して、勉強時間が少ないのに、勉強できること。声が集まると、うまくいっている学校は、こういう教え方をしていったらいい、などのデータが分かってくる。提案型の知識があってもいいのかなと思う。学校単位ではない。企業や、国の動きが必要になってくる。思い込みではなく、今の、教育は社会の中で話をすることが必要だ。つまり、初心に戻ることが必要なのだ。変化を恐れずに行うことが需要だ。日本の未来を作るのは「生徒たち」。未来を決めていくのも、実は、若者たちなのだ。

 

マーク・マクルアー氏(インターナショナルクラス IT担当)

「インターのICT活用と未来」

メモの取り忘れにつき、割愛。

 

<公開ディスカッション&質疑応答>

先約がありましたので、ここで、退席しました。

 

【まとめに】

あいかわらず、刺激のあるお話がきけました。ICT教育というと、ついつい、ICTツールに目がいきがちだが、本質を見失ってはいけない。やはり、本流は、教育そのものなのだ。

情報化の時代にあっては、生徒と先生の知識格差は僅かなものでしかない。しかし、だからこそ、骨太の教育が必要なのだ。