図書館類・総合研究所ブログ

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図書館総合展 アート&デザインの専門図書館が街づくりに果たす役割(速報)

【図書館総合展】

「アート&デザインの専門図書館が街づくりに果たす役割」を聞いてきました。

 

講演日:2013年10月30日

講 師:畑祥雄氏(宝塚メディア図書館長)

 

専門図書館の立場から、図書館(主に公共図書館を意識しているようでした)と地域の関わりについてのお話でした。

 

 

図書館に、アクティビティな講座が併設されていることは重要。講座だけで、図書館を持たない施設はもったいない気がする。

私の図書館でも、美術史の講座をしたりするがその際に関西一円から講師を呼んでいる。資料を伴った講座、これが強みだ。

図書館は過去を現在に受け渡す結線点である。今の図書館は過去を語るが、未来は語らない。ここが問題。

「LIFE」は、1週間に800万部売り出すモンスター雑誌。その存在はメディアの勃興史そのもの。ナチスに対抗するため亡命者が創刊した雑誌が、圧倒的な支持を受けつつも、時代とともに大衆化してしまう。クウォリティーが置き去りにされてしまった。

NHKは、10分の番組制作に2000万円を出している。すごいクウォリティーだ。その資金はアルジャジーラ。彼らは、自分たちの未来をにぎる子どもたちにクウォリティーの高いもので学習をさせたいとい要求のため。

おそらく、現在の世界水準で、高品質な科学番組をつくれるのは、BBC、NHK、ディスカバリー、ナショナルグラフィックの4カ所くらいだろう

 

図書館は知識を耕し、 想像力を蓄える。知識を貯めるだけではいけない。想像力の喚起が必要。

市民農園の実践を行っているが、市民農園と図書館の一体的な運営が可能なのか。私は、センター管理だから可能だと思う。受付で管理をすれば可能。図書館職員ですべてできる。公共図書館には抵抗があるが、NPOの我々には抵抗はない。野菜を育てるほどに、図書館の機能が明らかになる。

今、必要なのは、メディア編神の技術。そう考えると、図書館の分類はすごい、異なる分野のもを変換して管理する技術なのだ。

地域の防災情報がある。これは、どこが担えるのか。

図書館でしょう。図書館は地域に拠点を持っている。防災情報には非常に重要で有効である。

ここで、大船渡の津波の映像が8分間流される。

基本的にメディアが流す映像とは、カットされたもの。カットした情報では本当の防災情報とはなりえない。では、カットされない情報はどこにあるのか。防災関係者以外は見れない。メディアでは、PTSDになってしまうなどの理由でできない。しかし、図書館でならそれができるのではないか。

昔のメディアの伝達には限界がある。石碑、文字などは、時代とともに風化してしまう。その意味では、映像は可能である。擬似体験。3.11以降、学校の防災訓練は進んでいるが、地域の大人は対応できていない。

今、地域防災は低下している。このままでは、次の災害に備えられない。こんな試みもある。

日常の防災はゲーミフィケーションで体験する。リアルの映像ではPTSDになってしまため、ゲームという形にして提供する。

日本のスーパーは、国内では市場のこれ以上の展開は望めない。海外に進出しないと展望がない。例えば、iPadに電子図鑑をいれてもっていってはどうか。安い費用で地域某再情報を提供することで、新たなビジネスチャンスの構築や、ビジネスモデルになるのではないか。スマホに住所を入力してかざすと、地域の防災情報がダウンロードできる仕組みなど。国や自治体の情報では、広すぎて役に立たない。また、印刷媒体になると、最新の更新の面で困難。スマホで情報が広がる。

例えば、震災など、いざとなった時、車の防災情報は重要。車で逃げられるのか、そうでないのか。こんな情報を持てるとすれば、図書館が最も有効なのではないか。

警報が出た段階では逃げられない。警報が出る前に逃げるべき。逃げる場所はここだよねいった地域のコンセンサス、常識。

図書館の持ち込まれる映像は、今の規格では再生できないものが多い。ここにも、メディア変換技術が必要。過去の映像を未来に生かす。

図書館を持たずに講座を行うことは意味がない。図書館のアーカイブが講座にとっても役に立つのではないか。図書館自体がデジタルの講座を持ったり。

防災情報なら、国土交通省から補助が得られる。防災情報のメディアスタンドを設置したらよい。このことは、先にも触れた、ソーシャルビジネスになるのだ。メディアスタンドを設置することで利益が得られる。ソーシャルビジネスとい概念が公共にも必要。

世界大戦後の人口は20億人、現在、地球人口は70億人なっている。そのうち、貧困は40億人いるという状況。資本主義が作り上げた今日の状況は、資本主義のメカニズムで解決するしかない。フランスのダノン社はバングラデシュに支援を行っている。補助金ではだめだ。もっと実行力のあるものが必要。補助金はどこにいくかわからない。しかし、母親に渡せば必ず、教育にいく。この指摘は非常に重要。

図書館は素シャルビジネスの基盤になる。防災教育の徹底。しかも地域での防災教育が重要になる。ここに図書館が関わることが重要。

 

感想

専門図書館という観点から参加された方は、やや肩すかしの状態だったかもしれません。お話は、なかなか、興味深い内容で、図書館とメディアの関わりの重要性を改めて認識しました。また、ソーシャルビジネスが図書館の分野でも有効なのは、今セミナーを通じての収穫だったかもしれません。

 

時間に余裕があれば、詳細な報告もしたいと思います。