図書館類・総合研究所ブログ

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ブックポーカー(仮)

ブックポーカー(仮)と聞いて、ピンと来た人はかなりの情報通かもしれない。

昨日、都内でブックポーカー(仮)なる集まりがあったので、見学をさせてもらいにいってきました。

 

訪問日:2013年10月29日

時間:19時~21時半

場所:VOYAGE group会議室

 

主催者メンバーは、宮脇氏(KADOKAWA、主に企画提供)、望月氏(ツブヤ大学プロデューサー、広報関連の担当)、笠井氏(booklap、主に場所提供)、こばやし氏(ツブヤ大学プロデューサー、思いつき担当)からなっているようだ。

 

都内のビルの一角に、本好きが集まった。この日は、一回目の集まりにも関わらず14名の参加があった。

 

参加者は本を3冊持って集まるということなのだが、あいにく私は紹介できる本の持ち合わせもなかったので、見学という形にしてもらった。集まってきた若い男女は、それぞれ自分のお気に入りの本を3冊もっている。お互いはどこの誰かも全然、わからない。ただ本好きという一点で集まった若者たちだ。この出発点からして、おもしろい。

 

時間になり、主催者の一人、宮脇氏があいさつをする。彼は今回の企画の発案者らしい。さて、ブックポーカー(仮)とは、いったい、なんなのか。

 

書評にイベント的な要素を取り入れた「ビブリオバトル」という(図書館関係者なら知らないものはいないだろうが)、遊びがある。言ってしまえば、本を紹介して、人気投票をするという、非常にシンプルな遊びである。今、このビブリオバトルが、図書館館関係者の間ではなかなか、盛り上がっている。

 

今回の「ブックポーカー(仮)」は、名前のとおり、ポーカーの要素を取り入れたものである。主催者もビブリオバトルのことは知っており、もっとゲーム感覚にできないかと考えた結果、ブックポーカーを考案したようだ。と言っても、(仮)とあるとおり、まだ進化系なのだが。

 

このゲームの内容を簡単に紹介しておこう。審判とプレイヤーから構成され、審判は各プレイヤーの本を預かったり、進行役になったり、ジャッジしたりする。プレイヤーは、審判(進行役)にしたがって、ゲームを行う。

最初に、各プレイヤーは、「お気に入り」の本を1冊、他のプレイヤーには見えないように審判に預けるところから始まる。この時点で、各プレイヤーはお互い、何の本を預けたかは、分からないので、自己紹介をしながら、預けた本について会話をする。いかに相手の本の情報を聞き出すか、逆に、自分の本がわからないようにごまかすかが、このゲームのポイントである。

また、各プレイヤーにはコインが3枚配られ、これをうまく使うことが、ゲーム終了後のジャッジに大きな影響をあたえる。

ここで、気になるのは「じゃあ、話術のうまいものの一人勝ちじゃん」と思う人もいるだろうが、そこにはしかけがあり、答えたくなかったら「ノー・アンサー」と言って逃げることも可能なのだ。

会話の時間が終わると、審判は、各プレイヤーから預かった本をみんなに公開する。プレイヤーは、それぞれの本を手に取って内容を確かめながら、「誰が、どの本の持ち主か」を探し当て、解答用紙に記入をするのだ。

審判は、最後に、正解数、コインの所持数、評価(ここでいう評価とは、各プレイヤーが読んでみたいと思った本を1冊あげること。)を点数化しランキングを行う。

 

実際に、ゲームをしているところに立ち会わせてもらった。

参加者が14人いるので、2グループにわけ、私は望月グループの見学をさせてもらった。

 

各プレイヤーは審判の望月氏に本をあずけてから、1分程度の自己紹介を行う。初回ということもあり、みなさんやや緊張しながらも、名前(仮名でも可)と職業などを簡単に紹介しあう。紹介が一巡した頃には、緊張もほぐれてきて、話しやすい雰囲気が生まれている。

ここからは、グループ内で、適当にわかれて、会話を行う。会話の際は、立った状態で行う。これは座ったままでは、親近感がわかないので、立食パーティのように立った状態でしているようだ。

会話は、「あなたの本の魅力はなんですか」と質問してから始める。ここで話が盛り上がるかどうかは、会話者との相性なども左右しているようだ。最初は緊張のためか2,2,3人で別れて話をしていたが、だんだんと、グループ全体で話をするようになっていく。

各プレイヤーは様々な質問をしながら、相手の本の情報を聞きだしていく。「冒険のお話ですか」「ノンフィクションなの?」「同世代の男性が出てくる?」「有名な話ですか」「絵本ですか」「男子の目線で語られているのか」「変わったストーリーなのか」など、いろいろな質問が飛び交う。

審判が、「突っ込まれたらノーアンサーもありですよ」といっていたが、初回で緊張しているのか、誰も使っていなかった。およそ、20分程度の会話時間が終了すると、審判がみんなの本を持ってくる。

15分程度の時間で、本を当てなければいけないので、なかなか時間との勝負になる。本を手にするみんなの表情は、真剣そのもの、まるで子どもが本を一生懸命読んで楽しんでいるようにも見える。各プレイヤーはそれぞれの名前と会話内容をじっくりと思い返しながら誰がどの本の所有者なのか考える。判断がついたところで、解答用紙に記入する。

さあ、結果の発表だ。全問正解者が、逃げ切りで上位にランキングという結果だった。

最後に、一人一人が自分の本を持って正解を言うのだが、みなさん、思い入れのある本なので、たどたどしく話す人、すらすら話す人様々だが、丁寧に説明していたのが印象的だった。

いざ、正解数ををあけてみると、2問から全問正解まで意外とばらつきがあった。全問正解者には、おおという驚きももれる。ここで、評価ポイントが加算されるのだが、みんながおもしろいと思った本を持っていると、一発逆転もありえるわけだ。

 

続いて2回戦が始まった。この時のグループ分けも実におもしろい。半沢直樹を観た人観てない人という分け方をする。この入り口から、ゲーム感覚で始まる。

みなさんは、だいぶリラックスしているようで、話も弾んできて、声も大きくなってくる。「3回戦もあるの?」などいい感じだ。「サッカーが好き」だとか、「野球が好き」だとかいろいろ自由なしゃべり場空間が出来てきている。「きゃー、似合う」など、グループ内での一体感も増してきて、楽しくなってきているようだ。審判からは「コインを使うようにしてみませんか」など、進行上の注意も出されていた。

ゲームを進めながら、「ダミーの本もいれようか」「次回は、こうしよう」などとワイワイ話し合いながらチューニングを行う。いかにも、現在進行形のゲームらしさがあった。

 

まとめを、する必要もないと思うが、実に楽しい時間だった。1ゲームに要した時間は45分程度、慣れてきたら30分程度になるのかもしれない。私も本があれば参加したいと思った。まだ、試行錯誤はあるが、ビブリオバトルにはない楽しさがあり、定番化して、図書館との連携などできれば、いろいろな拡張性があるのではないだろうか。

 

最後に、主催者の方々、突然の訪問にもかかわらず、快く見学させていただいて、ありがとうございました。