図書館類・総合研究所ブログ

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図書館の電子書籍のあり方を考えるセミナーin東京(速報)

図書館関係者から3本のレポート。出版関係から3本のレポート。計6本のレポートがありました。詳しい報告は後ほど、精査してから出すので、今回は速報ということで。

 

公共図書館の立場から、秋田県立図書館の山崎氏。まだ、公共図書館での導入はわずかに17館程度、今後も増えるかというと必ずしも、そうではないようだ。図書館員の関心は高いが、あまり前進はしていない。これは、公共図書館と電算システムに密接に関係しているらしい。

また、公共図書館の電子書籍化する上で、民と競合する必要はない。民が手を出しにくい分野こそ公共がすべきとのこと。

さすがは、秋田県立図書館の電算システムを支えてきた山崎氏の発言は、説得に足るものだった。

 

続いて、大学図書館の立場から、筑波大学附属図書館の加藤氏。公共と異なり、大学図書館は意外と電子書籍化されているとのこと。ただし、内訳は、国内資料はわずかで、外国資料が圧倒的に、多いらしい。国内の資料については、供給ルートが図書館と個人で区別されていることなどや、電子書籍にする時の選定基準が曖昧なこと、また国外資料については、大手の系列以外はほとんど入手できないこと、契約条件の曖昧さなどを指摘されていた。

 

最後に総括的に、IRI代表理事の高山氏。電子書籍が出てきた以上、それに対しての、対応は不可避である。また、出版側も、図書館側も、電子書籍への対応により、業界や職能の構造改革が求められるとしている。

 

出版社からはダイヤモンド社の坪井氏。大月書店の中川氏。ともに、書籍がデジタル化されることへの、期待感を持ちつつも、図書館とのスタンスをどうとるかが、まだ決めきれないようだった。

 

最後に、著者の立場から、小松左京事務所の乙部氏。小松左京の「日本沈没」の原稿が偶然見つかったことから、電子化して、個人が所有するのではなく、図書館のような団体が保有することに価値を見いだした。

 

個人的には、もう少し、出版社サイドのラジカルな意見が聞けるのかと期待していたのだが、少々、残念な気がした。

 

それは、図書館と出版社がまだ、話し合いの場を持てていないことにも原因があるのかもしれない。